〇六年七月二十四日-八月五日ウエストベスギャラリーコヅカ
粘土、布、アクリルポリエステル樹脂で作られた立体が五点、平面作品が九点と今回も力作が並ぶ。
本人は自称「オタク」で作品制作に燃える毎日である。
ここに登場する妖怪のような生き物は創造性を遥かに超えて、如何わしさと猥雑さが入り交じった世界を形作ってる。
それは「かわいい」と同時に「オタク」という世界でもある。
「かわいい」は「美しい」の隣にある言葉で「醜い」とは正反対の言葉である。
しかし、中野さんの作品は具体的に眺めて見ると「美しい」とはまったく異なったものとして成立していることに気づく。
それは「グロテスク」という言葉で「かわいい」の正反対になる。
それは消費社会の「かわいい」神話の裏返しではないだろうか。
「かわいい」を語るメディアが説いているのは、幸福感であり、消費社会であり、生理的年齢に対する欲望の扇動行為に他ならない。
なぜ、女の子は「かわいい」ものでなければならないのか。
簡単である。欲望を満たす消費の対象だからである。
中野さんのフィギア作品はというと怒るかもしれないが、時折垣間見せる「グロテスク」な一面はこれらのアンチテーゼなのだろう。
名古屋造形同窓会 編集/鈴木敏春 発行人/片山光圓